1950年代から1960年代前半にかけて400両誕生したBudd社製ディーゼルカーRDC(Rail Diesel Car)が経済的に使用できる寿命を迎えた1980年代に,代替需要を見越してBudd社が送り出したのが写真のSPV2000です. その時代に生産されていたアムフリート客車にエンジンを搭載した手法は,RDCのコンセプトを踏襲します.
この時期Budd社は,シカゴの高架鉄道600両の次に予定していたニューヨーク地下鉄1100余両を失注して焦っていたのか,SPF2000プロトタイプ車が完成すると直ちにデモンストレーションツアーで全国を巡り,さっそくメトロノースとアムトラックの注文をとりましたが良かったのはそこまででした. 厳寒期にエンジン始動すると冷えた鋳鉄のマニホールドに熱い廃棄が流れ込み,マニホールドに亀裂が入る欠陥が発覚しました. その上単行で地方巡業した際錆びたレールで踏み切りの信号回路を短絡できず,新聞沙汰になりました. 錆びたレールではもともとこのような事象が起きがちですがこれが逆風となり,Buddの鉄道車両製造からの撤退の引きがねとなりました. 実績ある内容とコンセプトは良かったのですが,残念と言うほかありませんでした.